カムイコタンのシャメカムイ
『ずっと昔の話であります。その頃のカムイコタンは石狩川の河口で、太古はカムイコタンから下流は海でした。毎日のように帆掛け船が何隻となくやってきて、アイヌウタリの捕らえた熊や鹿、鷹、狐、鮭や鱒等と珍しい器具とを交換したものでした。今も石狩川に住んでいるシャメカムイ(チョウザメの神)という神様が石狩川の深淵(神居古潭の橋下にある淵)に住んでいました。太陽の輝いた日には美しい背を水面に遊べて、日向ボッコをしていたものでありました。此のシャメカムイとヌプリコロカムイ(山の神=熊)は非常に仲の良い友達で、一方は水、一方は山でアイヌウタリの守護神として崇められていた。秋になって鮭が捕れるようになるとアイヌ達は自分たちがそれを食べる前に、シャメカムイとヌプリコロカムイに、初鮭や鱒を供えたものであります。だから石狩川を丸木船で遡って来るにしても「オレはカムイの家臣のアイヌだよ」とシャメカムイに告げる変わりに、必ず棹で船の舷を叩きました。すると楽々船は進むことができたけど、舷を叩かなかった者が有ると、シャメカムイは船を転覆させるとか、全く動かなくしてしまうかして、どうしてもカムイコタンから川上には遡ることができなかったのでした。この神様の庇護で上川や石狩のアイヌウタリは毎日平和な日を送る事ができました。』村山ヨモサクエカシ伝・近江正一・伝説の旭川及其附近
- 2012.06.20 Wednesday
- 伝説・上川&宗谷
- 22:06
- comments(0)
- trackbacks(0)
- by hiro