北海道は道北と道東の観光スポットやアウトドア、渓流と滝を紹介

天塩町・岩になったユリカ

須原角兵衛が天塩に運上屋を設けてから後の話と云うことです。『当時天塩アイヌの首長はキスリという人でしたが、その一人娘にユリカという評判の美人がいました。その美しい声と容姿の端麗さは他に比類無く、遠く上川、留萌、増毛までも噂は伝わっていたそうです。天塩川河口へ弁財船が入港してくると、コタンは上を下へと大賑わい、アイヌの娘達もお祝いの踊りを披露したければなりません。なかでも際だって美しいユリカの踊りに、運上屋で働く一人の和人の青年が深いため息をもらしました。そして同様に、このりりしい顔立ちの青年も、ユリカを愛してしまったのです。やがて、二人は人目を忍ぶ仲になりましたが、青年は定められた期間を勤め上げれば、天塩を去って再び内地の方へ帰って行かなければならないことになっていたのです。そんな運命の二人が、さらに愛の炎を燃やしたのも当然のことだったのでしょう。川口に冷たい風が吹き、原野にリンドウの花が咲く頃、最も二人が恐れていた迎えの弁財船がやってきた。青年は親方に強く促され、手足をつかまえられて船上の人となりました。そして、砂丘から遠ざかる船を見送るユリカの姿が、いつまでもいつまでも動きませんでした。夜になって急に天候が変わりました。間もなく「コタンからユリカの姿が見えない」と叫ぶ、老首長の声が悲しげに聞こえて来たのです。驚いた人々が河口から番屋の方まで、原野までもくまなく探し廻り、時化の海に向かって声の限り呼びかけましたが、なんの応答も有りませんでした。翌朝は嘘のように晴れ上がった天気になりました。もう一度浜に出た人々は、そこに見慣れない岩を発見したのです。しかもその上には、見覚えのあるユリカのアッシが濡れたまま広がっているではありませんか。恋人を失ったユリカが悲嘆のあまり海に身を投げて、岩になったのであろう・・・と、人々は語り合ったということです。』高橋明雄・シュシュシナイの権六狸・・因幡勝雄編・アイヌ伝承はなし集成より。

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