名寄コロポックル伝説2
『昔、まだシャモがいなかった時は皆も幸福で、平和な日々が続いた。その頃、コルコツクンという小さな人が居て、時々いろいろな珍しい物を持ってきてくれたという。しかし誰もコルボツクンの姿を見た者はいなかった。夜明け前にきて、戸を少し開いて、その隙間から手を入れて、珍しい物を置いていくのである。コタンのエカシたちは、その姿を見ると罰が当たるといっていたのであるが、或る時、若者の一人が、どうしても一度は見てやろうと思い、夜中から戸の陰で待ち続けた。夜もそろそろ明けかかる頃、静かに跫音が聞こえたかとおもうと、戸が少し開いて、小さな可愛らしい手に、きれいな宝物を持ってきて差し延べてきた。若者は、その手首をぐつと握んで、むりむりにひきづりこんだ。ところがその小人は、裸で本当に可愛らしい人であった。小人は自分のことをコルポツクンと称した。そうして「姿を見られたから、これからは再びコタンにはこない」と云つて草の葉の陰へ逃げて云ってしまった。コルボツクンが来なくなったその頃から、シャモが来るようになって、コタンはだんだん滅びていった。コルボツクンはいつも裸で一家十人位が一本の蕗の葉の下で暮らしていたと云うことである。』茨戸ヒユテカンフチ伝 名寄の伝説 名寄郷土資料集第四集
- 2012.07.05 Thursday
- コロポックルの伝説
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- by hiro